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今までスレにうpされた画像まとめ(サムネイルクリック別窓で開きます)} 画像の追加方法 けいおん!のベース画像から三浦茜を描く方法 blankimgプラグインエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。blankimgプラグインエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。
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選手 誕生日:2月29日 血液型:A 前所属:桜が丘高 背番号:26→4 ポジション:DF 特技:サバイバルに詳しい セールスポイント:一対一に強いフィジカル、運動能力が全般に高い 好きな選手:呂 成海(サガン鳥栖) 10シーズンに2種登録で加入したルーキー。SSSトップチームが練習場の折り合いがつかず公園で練習していた際に遭遇。身体能力の高さからスカウトされ、加入に至った経緯を持つ変わり種。 フィジカル、スピードとも超高校級といっていいレベルだが引っ込み思案な性格が災いしてかそれをあまり生かせていない印象。視野も狭いのか、釣り出されたり上がったまま戻って来ないことも多いためボランチへのコンバートも視野に入れられている模様。 結構長い間、公園でホームレス的な生活を送っていると誤解されていた。
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ルイズコピペの改変 263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/15(月) 08 46 46.21 ID KVMahqVR0 デピたん!デビたん!デビたん!デビぃぃぃいぃいいぃぃぃぃいぃいいいいいいいいぃぃいぃぃ!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!デビタソデビタソデビタンンンンんんんッッぅっんん!ぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!三浦茜たんの桃色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!ポニテで刺されたいぉ!鋭いポニテモフモフ!ポニポニモフモフ!ザシュザシュモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! ssのデビたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! 外人も釣れて良かったねデビたん!あぁあああああ!かわいい!デビたん!かわいい!あっああぁああ! キャラソンもできて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!ssなんて現実じゃない!!!!あ…VIPもAAもよく考えたら… デ ビ ち ゃ ん は 現 実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ユーフォミアムぅうううぅぅぅぅうぅ!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?AAのデビちゃんが僕を見てる? (安価)18のデビちゃんが僕を見てるぞ!歴代のデビちゃんが僕を見てるぞ!ピックガードのデビちゃんが僕を見てるぞ!! ssのデビちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはデビちゃんがいる!!やったよ憂!!ひとりでできるもん!!! あ、AAのデビちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっあっあずにゃぁあああぁぁああん!りっつぁあぁあぁぁああん!!むぎゅぅぅぅぅうううぅぅうぅうううぅぅう!!みおっぉぉぉおぉぉおおお!!!ゆいぃぃぃぃいいいぃ!! ううっうぅうう!!俺の想いよデビたんへ届け!!滑り台の下のデビたんへ届け! 334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/15(月) 18 39 05.60 ID 7vR1TxYC0 茜!茜!茜!茜ぇぇうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!茜茜茜ぇううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!三浦茜たんの桃色ポニテの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! キャラ紹介ページの茜たんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! キャラソンも作られて良かったね茜たん!あぁあああああ!かわいい!茜たん!かわいい!あっああぁああ! キャラソンCMも作られて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!キャラソンなんて公式じゃない!!!!あ…ssもCMもよく考えたら… あ か ね ち ゃ ん は 公式 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!バッタぁああああ!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?AAの茜ちゃんが僕を見てる? AAの茜ちゃんが僕を見てるぞ!茜ちゃんが僕を見てるぞ!漫画絵の茜ちゃんが僕を見てるぞ!! アニメ絵の茜ちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕には茜ちゃんがいる!!やったよ!!ひとりでできるもん!!! あ、茜ちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああんあ梓ぁあ!!ゆ、唯ー!!紬ぃいいいいいい!!!澪ぉぉおおお!!律ぅぅぅうううう!! ううっうぅうう!!俺の想いよ茜へ届け!!桜高軽音部の茜へ届け! ヤバイ超ヤバイコピペ改変 95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/25(木) 02 30 06.11 ID 3KpNJ7mg0 ヤバイ。デビちゃんヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。 まずでかい。もうでかいなんてもんじゃない。超でかい。 でかいとかっても「身長が高いだけ?」とか、もう、そういうレベルじゃない。 何しろ巨乳。スゲェ!なんかB100とかあるの。紬とか澪とかを超越してる。巨乳だし超でかい。 しかもワンピ体系らしい。ヤバイよ、ワンピ体系だよ。 だって普通はふっくらしてるじゃん。だっておっぱいだけでかかったら困るじゃん。 ウェストとか超細いとか困るっしょ。 けどデビちゃんはヤバイ。そんなの気にしない。ワンピ体系。ヤバすぎ。 とにかく貴様ら、デビちゃんのヤバさをもっと知るべきだと思います。 そんなヤバイデビちゃんを育てたVIPPERとか超偉い。もっとがんばれ。超がんばれ。 吉野家コピペの改変 211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] :2010/03/28(日) 01 18 25.26 ID JSsvgvnw0 昨日、近所の公園行ったんです。公園。 そしたらなんか人がいっぱいで散歩できないんです。 で、よく見たらなんかピンク髪の女の子が布一枚で寝てるんです。 もうね、アホかと。馬鹿かと。 お前らな、女の子が寝てる如きで普段来てない公園に来てんじゃねーよ、ボケが。 女の子が寝てるだよ、女の子が寝てる。 なんか親子連れとかもいるし。一家4人で公園か。おめでてーな。 よーしパパ服脱がしちゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。 お前らな、エロ画像あげるから砂場譲れと。 公園ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。 ブランコ乗ってる奴とシーソーで遊んでる奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、 刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。 で、やっとベンチに座れたかと思ったら、隣の奴が、ココが一番見えるwwww、とか言ってるんです。 そこでまたぶち切れですよ。 あのな、ココが一番見えるwwwwなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。 得意げな顔して何が、ココが一番見えるwwww、だ。 お前は本当にココが一番見えてるのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。 お前、ココが一番見えるwwwwって言いたいだけちゃうんかと。 公園通の俺から言わせてもらえば今、公園通の間での最新流行はやっぱり、 自宅で見る、これだね。 双眼鏡持って自宅で見てカメラで撮る。これが通の方法。 自宅で見るってのは自分一人でゆっくり見れる。そん代わりちょっと遠目。これ。 で、それに双眼鏡とカメラ。これ最強。 しかしこれを実行すると向かいのババアに通報されるという危険も伴う、諸刃の剣。 素人にはお薦め出来ない。 まあお前らド素人は、ジャングルジムの上からでも見てろってこった。
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83 :転校生! [sage]:2010/05/29(土) 16 48 37.77 ID gQt2t9M0 担任「転校生を紹介します。三浦さん?」 茜「は、はい。三浦茜です。これからよろしくお願いします」 ざわざわがやがや 憂(うわぁ・・・身長高いなぁ) 梓(澪先輩より胸大きい・・・) 担任「席は・・・鈴木さんの後ろですね」 純「鈴木純です。髪の色、かっこいいね」 茜「え?あ、ありがとうございます」 茜(仲良く・・・なれるかな・・・?) 84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/05/29(土) 16 49 09.94 ID gQt2t9M0 梓「三浦さんは楽器とかやるの?」 茜「いえ・・・私、音楽が苦手で・・・」 純「えー!?部活誘おうと思ってたのに」 梓「ジャズ研は人数足りてるでしょ。それよりうちの部に入って欲しかったのに・・・」 憂「しょうがないよ。誰にだって苦手なことはあるよ」 梓「憂が言っても説得力ないよ・・・」 茜(あ、もうこんな時間・・・) 茜「あ、あの、私そろそろ売店に行かないといけないので・・・」 純「何買うの?なんなら案内するよ」 茜「い、いえ、大丈夫です!それでは」 梓憂純「行っちゃった・・・」 茜(売れ残り・・・分けてもらえるといいな) 茜(そういえば、中野さんは何部だったんだろう?) おわり
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41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [↓] :2010/03/24(水) 01 44 57.73 ID rNvpwWM30 中野梓はあくびを噛み殺しながら部室に向かっていた。 折からの陽気の中、外では気の早い春一番が吹いている。 桃の季節が間近に迫った、そんな放課後。ふと見下ろした窓の下、梓は彼女を見 つけた。 まず目を引いたのは、制服。 他校のもので、しかも近隣では見ないタイプだ。 容姿も、ちょっと見たことがない。 顔が小さいのか背が高いのか、とにかく等身が高い。 梓がそれ以上に注目したのは、胸。 軽音部の諸先輩方はもとより、顧問教師の山中さわ子と比べても、はっきりと大きい。 ずどーんとした梓にとってはうらやましい限りである。 「転校生かな?」 思ったが、梓が足を止めたのは、それだけが理由ではない。 彼女がじっと見上げる、視線の先。そこにあったのは、軽音部の部室だったのだ。 「と、急がなきゃ」 部室から漏れ聞こえてきたギターの音色に、梓はあわてて身をひるがえす。 窓が揺れている。風はまだ止まない。 「ほあーっ!?」 「譜面がぁーっ!? なんで窓開けるのよ、このバカ律ぅ!」 いつもの喧騒と春一番が、梓を迎えた。 42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [↓] :2010/03/24(水) 01 46 44.86 ID rNvpwWM30 明けて月曜日の放課後。 いつものように音楽室に向かっていた梓は、階段の上り端に、先日の少女を見つけた。 制服は桜ケ丘のものになっているが、特徴的なスタイルと髪型は見間違えようがない。 少女は階段の下から、じっと軽音部の部室を眺めている。 「あの、うちになにか用ですか?」 「きゃ!?」 梓が声をかけると、少女は飛び上がった。 「ああああやしいものじゃないです。わたし三浦茜と言ってですね」 少女はひどく動揺したように、体を震わせながら自己紹介を始めた。 並んで立つと梓より頭一つは大きい長身である。 「その、まだ一年なんですけど、転校生で、場所とかわからなくてですね」 ――ど、同級生……それでこんな差が…… 梓も知らずプルプル震える。 ちょうど目線あたりにある巨大なものを自分と引き比べれてみれば、将来性とかいう言 葉もむなしい。 「わ、私は中野梓。学年同じだから敬語とかいいし……それよりこの上って、音楽室―― 軽音の部室しかないんだけど――こないだも下から眺めてたよね? ひょっとして、音楽 に興味あったり、する?」 「ふぇ? 音楽ですか? いや、音楽は違うくてですね、むしろちょっと苦手なんですけ ど、その、なんだかびーんじゃじゃじゃーんとか言ってるから宇宙人とかに電波送ってた りするのかなって……」 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [↓] :2010/03/24(水) 01 47 57.00 ID rNvpwWM30 ――ずれてる。なんだかこの子盛大にずれてる。 どうしようもない認識の違いを感じて、梓は疲れたように肩を落とした。 「中でどんなことやってるか、気になるなら、見てみる?」 もはや年下を気遣う心もちで、梓は少女に提案した。 「嫌ぁっ!」 返ってきたのははっきりとした否定。ではなくて悲鳴。 よく見れば茜の豊かな胸が、彼女の背後から伸びた両手に揉みしだかれている。 「先生っ!」 「うーん、戦闘力測定不能。まさに未知との邂逅」 はふう、とくずおれた茜の後ろからあらわれたのは、音楽担当教諭にして軽音部顧問、 山中さわ子だった。というか見なくてもこんなことする人間に複数の心当たりなどない。 「いや、部室の前でまだ見ぬ胸が揺れてたら……揉むでしょ?」 「そんなキメ顔で言われても」 どう見ても変態の所業である。 「つーか、どうするんですか。三浦さん、倒れちゃってるじゃないですか」 「うーん、とりあえず……さらっちゃう?」 「やっぱりうちゅーじんだぁ」 さわ子のたわごとと妙にシンクロしたうわごとを、少女はつぶやいた。 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [↓] :2010/03/24(水) 01 49 14.90 ID rNvpwWM30 気絶したところを部室へ連れられた三浦茜は、当然のように部員一同の好奇の視線にさ らされた。 「なになに? 入部希望者!?」 田井中律は目を輝かせ。 「さわ子先生……またやらかしたんですか」 秋山澪は目を眇める。 大正解である。梓は苦笑をうかべる。 「先生のセクハラで倒れちゃって」 ――さわちゃんならさもありなん 梓の説明に対する先輩たちの反応は、驚きでも非難でもなく、納得だった。 ともあれ、気絶した茜はとりあえずソファの上に寝かされた。 仰向けになる形だが、そうするとひときわ胸のふくらみが目立つ。 「ふぉおおおおお……」 と、まぶしいものでも見るように、平沢唯がぷるぷると手を伸ばす。 「だ、だめですよ唯先輩!」 中野梓は必死に三浦茜をかばう。 「でもあずにゃん、すごいよー? 特盛りだよー? 触ったらきっとご利益あるよー?」 「……ありませんから! つーか気の弱そうな子なんですから、いじっちゃだめです!」 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [↓] :2010/03/24(水) 01 50 29.19 ID rNvpwWM30 そのやりとりを見ていた山中さわ子が、ぎらりと眼鏡を輝かせる。 「アリね」 「大いにアリです」 紅茶を淹れていた琴吹紬もおっとりとした口調で同意した。 またこいつらは、と言いたげな瞳を向け、秋山澪がため息を落とした。 そんなことをやっているうち、茜が目を覚ました。 ゆっくり薄目を開けた彼女に、皆の視線が集中する。 驚いたようにあたりを見回すと、彼女は不安そうに口を開いた。 「あの、すいません。ここは?」 「軽音部の部室。あなた、倒れちゃったから」 思い出したのか、茜は顔を真っ赤にして頭を下げた。 「ごめんなさい! ご迷惑をおかけしちゃって」 「いや、あれはこっちが、というかさわ子先生が原因だし、気にすることないよ」 梓の言葉を聞いて、茜の視線がさわ子に移動する。 さわ子はほーれ、とばかりに両手をわきわきさせた。 茜は小さな悲鳴をあげてソファの後ろに隠れてしまった。 「――先生?」 「いやちょっとした冗談だから! あなたもそんなにおびえないでお願い後ろからの視線 が冷たすぎる!?」 背後からの圧力に悲鳴を上げるさわ子をしり目に、紬はソファから半分顔を出した茜に 微笑みかける。 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [↓] :2010/03/24(水) 01 51 35.81 ID rNvpwWM30 「ほんとにごめんね? お詫びと言ってはどうかと思うけど、よかったらお茶をご一緒し ませんか?」 「ムギちゃん印のお菓子もあるよー。おいしいよー」 唯が皿に乗った焼き菓子を左右に揺らす。 茜の視線が左右に揺れる。 「ちょ、唯先輩、猫じゃないんですから」 「でもあずにゃんはこれで釣れちゃうよー」 「わ、私は別に……」 言いながらも、梓の視線も焼き菓子にくぎ付けになっている。 「ほら、あーずにゃん」 「つ、釣られませんからね!」 顔をそむけながらも、梓は焼き菓子をチラチラ見ている。 「欲しかったらにゃーって言って、にゃーって」 悪乗りする唯。顔を真っ赤にする梓。 そして。 「に、にゃあああ」 ソファの陰に隠れた少女が、焼き菓子ほしいと必死に自己主張した。 時が凍りついた。 茜の顔が真っ赤に染まる。 紬はいつの間にかビデオカメラを回していた。 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [↓] :2010/03/24(水) 01 52 42.12 ID rNvpwWM30 その後、茜を交えて茶会となった。 一同甘味にとろけながら自己紹介していき、茜もそれに倣った。 それから軽音部の活動や、めいめいの楽器などに話が移ったのだが、それについ て彼女はなにやら勘違いしていたらしい。顔を真っ赤にしていた。 なにを勘違いしていたのかは、ついに口を割らなかったが。 「ねえ茜ちゃん? あなた、軽音部に入ってみない?」 ようやく打ち解けてきた茜に対し、紬が唐突な提案をした。 さわ子がわが意を得たりと親指を立て、澪はひそかにため息を落とした。 彼女が三浦茜のなにを買ったのか、理解できてしまったのだ。 「え? いや、その、わたし音楽は苦手で、というか全然知らなくてですね、素人なんで そんな音楽とか」 「大丈夫だよ! 私だって入部したときなんか全然素人で、コードとかもわからなかった し!」 「それは今でもだろう……」 「そうそう、澪も人前で歌うのはずかしいっ! ってプルプル震え――あぐぐなにすんだ 澪っ!?」 からかうような調子の律に、澪が顔を真っ赤にして口を封じにかかる。 「それに」 バトルする二人をしり目に、紬が言葉を継ぐ。 「わたしたちが卒業しても、梓ちゃんが一緒に演奏できる相手がいるって、それは素敵な ことじゃないかしら?」 「ムギ先輩……」 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [↓] :2010/03/24(水) 01 53 56.38 ID rNvpwWM30 不意打ちにそんなことを言われて、梓は思わず目を潤ました。 茜も一緒になって目を潤ませていたが、他人事ではないと思いだしたのか、あわてて手を振りだした。 「いやでもですね、わたしも放課後とか」 「おいしいお菓子もつくよっ!」 「このさわ子先生が個人レッスンもしてあげる!」 「夏には合宿とかするし!」 「私お手製のコスチュームも完備!」 「はいはい、さわちゃんこっち来て余計なこと言わない」 さわ子は律に連れて行かれた。 「その、やっぱりですね……」 言葉の途中、茜は一同の視線から逃れるように窓の外を見た。 そこで何を見つけたのか。 「ほんとに、わたしでも出来るでしょうか」 「うん! ぜったい! 私が保証するよ! 優秀な先生もいるし!」 唯が背中をたたいたのはさわ子ではなく、梓である。 二人の眼が逢う。梓は照れ臭そうに笑って、彼女に手を差し伸べた。 「いっしょに軽音、やろう?」 「ぜひ、お願いします」 茜は両手でその手を抱いた。 外の風はすでに春の温もりを抱いている。 部室から見える風景に、気風のよさそうな店主が勤める売店があったのは、まあご愛嬌。
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45 :茜「モグモグ」 :2010/05/26(水) 22 47 12.20 ID W6f6al20 滑り台とブランコのある大きな公園。木陰に群青色の小さなテントが立っている。 制服姿の高校生らしき女の子がテントの前に座っている。 娘「モグモグ・・・」(よく噛んで食べないとこの草、消化に悪いから。) 娘(今日もこどもたちが遊びにきてる。) 小学三、四年生くらいの女の子が2人組でブランコに乗って何か話している。 60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/05/27(木) 20 44 38.06 ID AodjYvoo 「それでお父さんリストラされちゃってね…」 「そう…大変だね…頑張ってね…」 「お母さん、泣いてばかりで…私どうしたらいいか分からないの」 女の子は突然うずくまって泣き始めた 娘(どうしたんだろう、なんか心配だな…) 77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/05/28(金) 23 05 35.39 ID v1iX5UAO 娘は突如としてUFOを呼び出し 摩訶不思議な呪文を唱えた! すると、女の子の父親は職を取り戻し さらに全世界の紛争が停止され、世界は平和を取り戻した! そう、彼女こそ伝説のユーフォニアム使い、三浦茜だったのだ!!
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けいおん!@あなざー (From mixi) 第一話「転校!?」 ある日の私立桜が丘高校軽音部のお話。 「おーい、澪~」 部室への階段を上っていた澪に律が上から話しかける。 いつものことだと思い澪はそっけなく返事をする。 「なんだよぉ、何度も呼んでぇ」 「冷たいなぁ…」 「べ、別に冷たくなんてしてないだろ?」 「そうかなぁ…最近澪…私に冷たくないか?」 「いつもべったりされる気持ちを少しはわかれっ」 「あはっ。やっぱ迷惑でしたか」 どこまでが冗談なのかわからない返事をしつつ部室に入っていく律。 その背中を追いかけ澪も部室に入る。 「あ、りっちゃーん。澪ちゃんもきたぁ。今日もいい天気だねぇ」 「そうだなぁ…早くおやつを食べないと寝ちゃいそうだなぁ…」 「こらぁっ。ムギが来るまで練習してろぉ」 いつも通りのいつもの風景がそこにはあった。 そこに梓がやってくる。 「あ、先輩達こんにちわ…ってまたグダグダして…」 「ほらっ梓も来たんだから練習しよっ?」 練習を急かす澪だったが梓が割って入ってくる。 「あ、そうだっ。先輩!今日うちのクラスに転校生が来たんですよ!!」 「何っ!?その子軽音部に入らないかなぁ…」 梓の発言に律が飛び起き食いついてくる。 「うーん…管楽器のケースを持っていたんで楽器は出来るのかもしれないですけど…」 梓がしゃべり終わる間もなく 「なら、誘いに行こうよー」 と唯が立ち上がる。 「駄目ですよ先輩。管楽器ってことはきっとジャズとかやりたいんですよ。軽音部に来るわけ…」 「それでもめげないのが軽音部だよぉ?あずにゃん?」 そう言いながら梓の頭をなでる唯。 ふにゃ~といった感じになる梓。 「それに、あずにゃんも同い年の部員いたほうが楽しいでしょ?」 「そうですけどぉ…」 「よしっ、なら今から誘いに行くぞっ!!」 「おーっ!!」 律がやる気を出し唯が答える。 そして部室のドアを開け外に飛び出していった。 「はぁ…やれやれ。」 呆れた様子の澪。 ──出て行った二人。 前も見ず、走って階段を降りようとしたその時。 「うわっ…!!」 律が何かにぶつかった。 そしてそのまま階段を転がりそうになる。 「危ないっ!!りっちゃん!!!」 ぶつかったものは黒いケース。 そのケースが急に宙に浮かんだ。 そしてケースを持っていた人物が律を抱きかかえバランスを安定させた。 「うおっ…びびったぁ…あ、ありがとな!」 お礼を言う律。 パシッ!! 上に投げたケースを片腕でキャッチしながら答える少女。 「あ、いえ。ボクもちゃんと周り見てなくてすみません。こんなことじゃ生きてけない…」 何やらブツブツ言っている少女を気にせず唯が話しかける。 「すごいよっ!今の動きっ!!りっちゃん助けてくれてありがとー!それと…ボクっ子だぁ…」 「私からももう一回お礼を言うわ。ありがとな。」 「い、いえ。今日転校してきたばかりで校舎の中がわからなくて迷ってて…とりあえず購買を見つけたんですけど…」 少しオドオドしながら話す少女。 そこに追い打ちをかけるように二人はテンションを上げ 『転校!?今日!?』 と言い放った。 「はい…そうですが。」 「やったねりっちゃん!」 「さすが私だ!偶然を装って対象Xに近づくとは…」 「た…対象X…?ボクがですか?」 よくわからない様子の少女。 「私は軽音部部長の田井中律、ちなみにドラム。」 「私も軽音部でギターの平沢唯です。よろしくね~」 「ボクは今日転校してきた三浦茜と言います。」 自己紹介をしたところで動き出す二人。 「じゃあ唯…」 「そうだね、りっちゃん!!」 「え…?ボクどこn…?」 『軽音部へレッツゴーッ!!』 そう言いながら腕を引っ張り部室へ連れて行く。 ガタンッ 「澪っ!!早速見つけてきたぞ!」 「あずにゃんと同い年で転校生の~」 「えと、三浦茜…です。」 びっくりした顔をしながらも3人に近づき… 「何やってるんだよ!怯えてるじゃないかっ。あ、私は秋山澪、よろしくね。」 「はい…別に怯えては無いですよ?」 「あの、私同じクラスの中野梓です。わかりますか?」 「覚えてますっ!よく公園に来る猫さんに似てるなぁ…って思ってました。」 「猫…」 何とも言えない感情になる梓を横目に唯と律は… 「ねぇ~その楽器何~?音楽できるの~?」 「背高いなぁ…軽音部入らない?」 「えとえと…この中にはユーフォニウムが入ってます。音楽は…全然できません…なので軽音部に入っても…」 「そっかーなら今から練習すればいいよ!私もギター始めたのここに入ってからだしっ」 そこでふと疑問をもった澪が一言。 「なんで音楽できないのにユーフォニウムなんて持って学校来てるんだ?」 「部屋に置いとくと濡れて錆ちゃうか、子供に持っていかれちゃうんで…父から貰ったものなので大事にしたいんです。」 「そか…強制は出来ないけど、軽音部に入りたかったら言ってくれ、いつでも歓迎するから。」 「おい、澪っ。何自分で片付けてるんだよ~」 「いいじゃないか、強制は出来ないだろぉ?」 「ぐっ…そうだけど…」 そこにドアの開く音が聞こえる。 「こんにちは~あら?今日は人が多いのね。よかった~今日お菓子持ってきすぎちゃったの♪」 その“お菓子”という言葉に反応する茜。 「お菓子…ってあの食べ物のお菓子ですか?」 「そうだけど…」 「もしかして毎日持ってくるんですか?」 「うんっ。みんなで食べるとおいしいじゃない?あ、私は琴吹つむg…」 「軽音部入りますっ!!」 紬の言葉を遮りながら軽音部に入る決意表明をした茜。 喜びはしゃぐ律、唯、梓を横目にため息を吐く澪。 この先どうなっていくのだろうか…?
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195 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] :2010/03/27(土) 23 49 51.62 ID 4zAhherR0 春、四月、新学期。新入部員獲得の時期が来た。 「もうじき新歓ライブ!」 部室でテーブルを囲むみんなを前に、田井中律がグーを突き出し声を張る。 「さすがに間に合わせるのキツイからデビちゃんはマスコット!」 「――というわけで私の出番です!!」 唐突に登場したのは、顧問教師の山中さわ子。 続いて入ってきたのは遅刻しいていたデビちゃんこと三浦茜だ。 「今回はわんこぬいぐるみの下半身を大胆にカット! ミニスカワンピ風!そしてわんこ マスクが思いのほか怖かったので、取っ払って犬耳カチューシャを装着させてみました!」 「「「「あうとーっ!!」」」」 そのきわどさに、四人の声がそろった。一人だけ親指を立てた。 「あずにゃんならともかく犯罪だよこれっ!?」 「そうだよ! 梓ならともかくデビちゃんがその格好はヤバイ! 風紀的に!」 平沢唯と律が口々に言い募る。 「なんで私ならOKなんですか!?」 トモカクにされた中野梓が非難の声を上げた。 196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] :2010/03/27(土) 23 50 58.39 ID 4zAhherR0 「だって――」 みんなの視線が梓の体のラインをなぞった。みなまで言う必要はなかった。 「あ、茜、大丈夫か? 恥ずかしくないか? 無理してないか?」 おろおろしながら秋山澪が茜を気づかう。 「え? なぜですか?」 そんな彼女にむかって、茜は不思議そうに首をかしげた。 着こなしにためらいがない。普段着姿のような自然体だ。むろん恥じらいなど皆無である。 「あ、あれ?」 「とにかく」 首をかしげる澪を尻目に、梓が席を立って言う。 「茜ちゃんがよくても、風紀的には完全にアウトです! もっと普通の格好にしましょうよ!」 肩を怒らせた梓の主張が通って、茜はミニスカフリルメイドに身をやつすことになった。 「あれ?」 腑に落ちない表情の梓を尻目に、茜は元気に動き回っていた。 おしまい
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1 2 3 4 唯「三浦茜…?」律「誰だそれ」 2010/09/27 http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1285548644/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 誕生日おめでとう。 -- (通りすがり) 2012-02-29 23 51 39 茜さん個人的に好き。 -- (通りすがり) 2011-12-12 01 42 03 そういや、架空キャラを去年に作ったっけ あれから一年以上も経過するのかぁ -- (名無しさん) 2011-12-05 05 24 41 茜ちゃんかわいい… -- (名無しさん) 2011-08-17 00 32 28 ↓友達の相談に対して自分を巻き込まないでくれとかな… -- (名無しさん) 2011-08-17 00 18 55 澪嫌な奴だなぁ -- (名無しさん) 2011-08-17 00 15 16 三浦茜って架空のキャラだと最近知った( ̄◇ ̄;) -- (あずにゃん) 2011-07-27 01 26 44 当時を思い出すなー… -- (名無しさん) 2011-03-05 20 46 17 茜「(いいなぁ、2人とも小さくて。私なんてデカイしデビちゃんだし…)」 ↑わたしは萌えた -- (名無しさん) 2011-02-01 22 13 02 なにげに純が可愛い -- (名無しさん) 2010-12-30 17 11 16
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※後から見直すとかなり酷い出来だったので初投稿の内容からだいぶ改変してあります。 きーんこーんかーんこーん 桜が丘高校の休み時間。 人気の無い一角で落ち合う二つの影。 茜「来ましたけど……さわ子先生。何の用ですか」 さわ子「やーっときたわね。ここ人来ないから、普段通りでいいわよ。……ま、とりあえずそこ座んなさい」 茜「……さわ姉、タバコ吸うんだ」 学校の喫煙所。がっしりした長椅子が二つ。 さわ子「昔はね。今はもう止めたわ」 茜「ぶりっ子してるもんね」 さわ子「うっさいわね。それより、何で呼ばれたか分かってる?」 茜「あの女に義理を立てるためでしょ」 さわ子「生意気言うし。そんなだから孤立しちゃうのよ」 茜「……別にいいもん。慣れてるから」 さわ子「あんたが良くても駄目なの」 茜「私の勝手じゃん……」 さわ子「お子様の勝手が信用できますかっての」 茜「……子供じゃないし」 さわ子「はいはい。……あたしが言いたい事は月並みよ『友達を作りなさい』これね」 茜「……はあ。さわ姉、私のキャラ知ってるでしょ?」 さわ子「もちろん。でも、その子のキャラだから~って簡単に諦める程、教師の仕事って簡単じゃないのよ」 茜「……作れ、って言われて作れるものじゃないし。先生って奴ら……いつもそうだよね。結果をせかすだけで何もしてくれない」 さわ子「そういう事言われると耳が痛いわね……。」 さわ子「でもあんた、友達作ろうって気はあるの?ちゃんと努力してる?」 茜「……私は一人でもやっていけるし、そっちのが良い」 さわ子「……あんたいつかあたしに言ったでしょ。さわ姉みたいな友達が欲しいって。……一人が良いなんて、本当なの?」 茜「……!」 赤くなる茜。 茜「……もう、あの時とは違うよ」 吐き捨てて、逃げるように去る。 さわ子「あ、ちょっと!まだ話は」 ………… さわ子「うーん、駄目か。ちょっと侮りすぎたわねえ」 「……あれ、先生?」 さわ子「あら、梓ちゃん」 梓「今の人……2年生ですよね?(なんで三年の先生が?)」 さわ子「うーん、ちょっと色々ねえ」 梓「…………」 後姿を見送る梓。 数日後 「はい、二人組み作って~」 体育の時間。 定番のグループ作りの掛け声がかかる。 桜ヶ丘高校では体育の時間は二クラス合同で行われる。 日程上都合の良いクラス同士が組み合わされるので、毎時間その都度合同するクラスが違う。 茜「……(体育なんて滅べばいいのに)」 今日は茜のクラスと 憂「じゃんけん、ぽん!」 梓「あいこで、しょ!」 憂「あいこで、しょ!」 純「あれれ、またあいこか」 「あいこで、しょ!」 梓「ううう、負けたぁ」 純「今日は激戦だったね~。それじゃ梓、頑張ってね」 梓のクラスの合同である。 梓と仲の良い憂と純は三人組のため、こうした機会があると三人の中の一人があぶれざるを得ない。 梓「しょうがないか……。あ、一緒に組まない?」 適当にまだ決まって無さそうな知り合いに声をかける。 「ごめんね梓。今決まっちゃったばかりなの」 梓達がもたもたしていた為、自分のクラスでは殆ど二人組みが決められつつあった。 仕方ない、隣のクラスから見繕おう。 あの人はいけそうかな。 目に留まった人物に声をかける。 梓「あの、二人組お願いできますか?」 茜「……え?」 茜は高身長で独特な髪色をしているため嫌でも目立つ。 梓が声をかけたのは自然の成り行きだった。 梓「もしかして、もう決まっちゃいました……?」 茜「……う、ううん。そんなことない」 めでたく二人組が誕生した。 転校生で引っ込み思案な茜は、既存のクラスメイト達の付き合いに割り込む事になんとなく気がはばかられ 自分から声をかける事ができず、結局一人ぼっちになってしまう事がよくあった。 茜「……ふう(良かった……助かった)」 安堵する茜の横顔を、梓は何となくひっかかる思いで見ていた。 あれ……この人どこかで……? 十数分後 茜「……親戚なの。オフでも、教師顔するからけっこう迷惑」 梓「そうなんだ!さわ子先生って面倒くさがりだから、そういうのちょっと意外かも」 茜「……たまにいい格好するんだ。ちょっとだけ「へえ」って思う事も言うよ」 梓「うわー。絶対想像できないなー」 人懐こい梓は茜に屈託なく話かける。 いつもは他人に心を閉ざしがちな茜も、徐々に梓との会話に饒舌になっていった。 茜「(この人……嫌な感じがしないな。いつもの奴らと少し違うかも)」 所属するクラスで避けられがちな茜にとって、事情を知らない他のクラスの梓との会話は 久々に気持ちの良いひと時だった。 茜「(……あ、臭いとか。したりしてないかな……?)」 芽生え始めた関係を壊すのを恐れて、茜は気をまわす。 吹けば飛ぶような繋がりだったが、目の前の笑顔を失われるのが怖かった。 梓「……それでね。先輩ったらいっつも」 梓は茜の内面など全く気づく様子もなく、よく喋り続けている。 梓「こうやってぎゅ~ってね」 抱きつく真似をしようと梓が茜にぐっと近寄る。 茜「あ……だ、だめ!」 ぱっと遠ざかる茜。 あまり近寄られるとまずい。 不潔な暮らしは決してしていないが、家庭の都合であまり頻繁に洗濯をする事は出来ない事情があった。 梓「?」 きーんこーんかーんこーん 時間の終わりを告げるベルが鳴る。 疑問符を浮かべている梓を他所に、茜は早々に帰ろうとする。 二人の距離が少し広がったあたりで不意に彼女は振り向くと 茜「……あ、あの、今日は……」 ありがとう。言うはずが、言葉が出てこなかった。 ぺこり 代わりに一礼すると、茜は足早に教室への帰路へつく生徒の群れに消えていった。 梓「なんか面白い人だったな……」 梓の知り合いには茜のようなタイプはいない。 ひねた感じだが、言葉の端々に照れるような響きがあってちょっとだけ可愛らしい。 三浦茜さんか……。 頭の中であの女の子の名前を記憶に刻むように確認すると、梓は入り口で手を振っている憂と純を見つけて、彼女達の方へ歩みだした。 数日後 茜「ショートケーキプディング……(じゅるり)」 売店。スイーツコーナー。 茜「(280円……ボーダーの二倍以上)……無理か」 茜「(どうしてこう洋菓子って高いのかな)」 諦めて一番安いサンドイッチを二つ買ってチェックアウト。 ご飯を食べる場所を探す。 私は人ごみが苦手だ。特別教室棟へ行こう。 昼休みは空く場所。 茜「……(いまいちかな)」 長椅子に一人腰掛けて昼ご飯。 タマゴ味を選んだのだが、具が想像より少ない。 茜「…………超おいしい」 一人ぼっち、まずいご飯。 あまりに情けない。嘘でも華やかな気分が欲しかったのだが……。 茜「……駄目か」 余計情けなくなるのだった。 ~♪ 茜「……あ」 どこからともなく音楽が流れてくる。 私がここにいる理由。 巧拙は兎も角、それは楽しげな調べだ。陰鬱なお昼のひと時が少しだけ明るくなる。 演奏者はどんな人達だろう。 毎日通い聞くうちに、すっかり茜は演奏する見知らぬ人間に憧れを抱くようになっていた。 想像が膨らむ。 茜「……」 自然と中断するご飯。流れてくる音に身を任せる。 知らぬ間に体でリズムなんかとっている。 こんなの私のキャラではないのだが。 少しして演奏が止む。 今日はハーモニーする音が少なかった。 何かあったのかな。 目をあけると、そこにさわ姉がいた。 くそ、見られた。 普段警戒心の強い茜は無防備な姿を見られて、ちょっとだけ赤面する。 さわ子「あら、お目覚め?」 茜「……そういうの、失礼だと思うけど」 さわ子「いや、めったに見れないものが見れたからついね。」 教師が昼休みに特別教室棟に来る事は珍しい。 散歩か。 茜「あんまりウロウロしてるとイメージ悪いよ」 ゴミをまとめて立ち上がる。もう教室へ帰ろう。 さわ子「ちょっと待った」 茜「……何」 さわ子「説教もなんか違うしね。ちょっと、ついてきなさい」 また一方的だ。何のことだか分かりゃしない。 さわ姉は歩き出す。後方確認も何のその。ばっくれようか。 少ししてドアの前でストップ。 茜「……けいおん部?」 札が下がってる。営業中らしい。 さわ子「誰かいるー?」ガラガラガラ 唯「あ、さわちゃんだ」 紬「珍しいですね。何かあったんでしょうか?」 さわ子「ちょっとね、この子の面倒を見てほしいのよ」 紬「?」 既にあたしは後ろにいない。 こんなお見合いみたいなもの、冗談じゃない。 物陰から逃げようとしていると首根っこを掴まれた。 さわ子「これね。これ」 力ずくで引き出される。。 もやしにこういう時抗う力は無い。 私よ、もっと肉を食おうか。 唯「あれ、先生の知り合いなの?」 さわ子「あら、どうして?」 唯「だって今、『おほほほ~』って感じじゃないじゃん」 さわ子「ああ、そうね。これは親戚の子なのよ」 さわ子「ほら、挨拶して」 いきなり連れて来て挨拶しろ? 理不尽だ。 私はペットのインコじゃない。 憮然とした表情の茜。 下を向いている。 茜「……二年の三浦茜です」 ごにょごにょ。 最低の挨拶だ。 一般的に100点満点で言えば採点不能で用紙を破かれるレベル。 でも二人は気にしていないらしい。 紬「三年の寿紬です」 柔らかな動きでしっかりとお辞儀。明らかに育ちが良いな。 おっとりした感じの人。 綺麗な声をしていて、むしろ合唱部が似合いそうな気がする。 唯「平沢唯です!」 屈託の無い表情でまっすぐこちらを見てくる。そしてなぜか敬礼のポーズ。 こっちの人は可愛らしい感じ。 先輩というよりぬいぐるみみたいな感じがする。 やわかそう。 紬「とりあえず、こちらへどうぞ」 椅子を引く。 茜「……はあ」 さわ子「なんでもいいからその子と話してあげて。あ、あれだったらけいおん部に入れてくれてもいいから」 無責任な事を口走りつつさわ姉が出て行こうとする。 唯「ほんとに!?さわちゃんありがとー!!」 唯という人が飛び跳ねて喜ぶ。 いや、私に言えよそれは。 というか、入らねーよ。 さわ子「その子達よ。さっき演奏してたのは」 え?ビックリして硬直する。 さわ姉は思い出した様にそれだけ言うと、忙しそうに戻っていった。 けいおん部って音楽部のことだったのか。 紬「お口に合うか分からないけれど……」 茜「!?」 紬という人がケーキと紅茶を差し出す。 え?また硬直する。 ここは何?このケーキは何のつもりなの? あれか、お金とかとられるのか? サイフには余裕なんかないのに。 それともさわ姉が奢ってくれたんだろうか。 ていうか学校で喫茶店?? 色々疑問は浮かんだけれど、私はそれらを考える前に反射的にケーキを口にしていた。 どれだけ飢えてるんだよ私。 茜「……あ、これ」 紬「お口に合わなかったかしら?」 心配そうな表情。 お口に合わない?……先輩、冗談は眉毛だけにして下さい。 なんか、あの、すごく、とっても、おいしいです。 でもボキャ貧。 茜「……おかわり、とか、あの?」 小さな声。真っ赤になって慎重に追加注文してみる。 その前に聞くことが山ほどあるだろうに。 何やってるんだろ私。 横に積み重なっている皿の山。 喫茶店の情緒ぶち壊しな風景だ。 喫茶店じゃないけど。 唯「わ、わたしの明日のケーキが……」 食べ過ぎて備蓄に手を出してしまったらしい。 しまった。調子に乗りすぎた。 憧れの人達の前だったが、食べ物を前に我を忘れてしまっていた。 紬「大丈夫よ唯ちゃん。また明日持ってくるから」 茜「……あ、その」 紬「気にしないで。すごく美味しそうに食べてたから、私も嬉しいの」ニコニコ 眉毛の先輩が皿を片しながら言う。 毛ほども気にした様子はなく、本当に嬉しそうだ。 女子高生離れした包容力を感じる。 こんなお姉さんがいたら幸せかも……。 唯「もう!そんな食いしん坊な奴は……こうだ!」 茜「きゃっ!?」 突然抱きつかれた。 私の図々しさが怒りを買ったのかと一瞬青くなったが、口調は悪戯だった。 そして言葉に反して優しく私を抱きこむ。 柔らかくて、暖かくて、良い匂い。 夢見心地になって、本気で体を預けそうになる。 この感じ、何か懐かしい気がする……。 茜を抱きとめた腕の感触は、突如忘れかけていた古い記憶を呼び覚ました。 そういえば……これは。 「お前、細長くて気持ち悪いんだよ」 「いつも汚い服を着てるし、髪の毛も何か湿ってて嫌」 「体から変な臭いがする」 きっかけは些細な事だった。あれは小学校の参観日だったか。 誰かの母親だった。とても綺麗な人で、落ち着いた物腰のお嬢様といった感じだった。 それだけではとり立てて驚くような事ではなかったが、遅れて教室へ入ってきた私の母親がいけなかったのだ。 後ろに立つ彼女の体は、ひょろりと細長く、所々が骨ばっていて肌はザラついていた。 纏っていたのは色のくすんだヨレヨレのブラウス。 件の綺麗な人と並ぶ形になった為、子供達の興味を容易に引き寄せた。 放課後にはその話で持ちきりになる。 「あの宇宙人だれの親だよ?」 「知ってる!あの人茜ちゃんのお母さんだよ!」 「うわ……本当に?」「そういえば茜って……」 ………… 私は泣きながら家へ帰った。悲しいというよりも悔しかった。 それまでの私の日常を母が壊したのだ。 理不尽な仕打ち。全て母親が悪いのだ。臭くて汚い母親が。 帰って泣き喚く私を抱きとめる母の愛情も、ただ逆効果でしかなかった。 私の背中に回される腕。やめて。私を離して。私を一緒にしないで。 私は違う。臭くて汚い宇宙人の親子。違う。 私は違うんだ。この人だけなんだ。 私は、私は違う人間なんだ。 それでも私をより一層深く抱きしめる母親の腕。寄せられた肩口からむわっとした臭気が鼻をついた。 やめて………… 背中に回された腕が離れない。 やめて…… 母親の汚れが、私に染み込んでいく。 茜「……やめて!」 忘れようとしていた最悪の記憶がフラッシュバックし、抱きとめる腕から逃れようと限界の力で振りほどく。 ビクリとする唯。 暴力とは到底縁の無い彼女は、こういう仕打ちに耐性が無い。 唯はショックを受けた様子で、明らかに表情には怯えが走っていた。 茜「(あれ……私)」 我に返った頃には、悪夢は既に消えていた。 しかし、代償は大きかった。 あ……まさか。 背中に感じた温もりはもう無く。 まさか私は、やってしまったのか? 振り向くと、私に獣でも見るかのような恐怖のまなざしを送る先輩の顔があった。事態の大よそに理解がいく。 取り返しの付かない事をしてしまった。 罪悪感で目の前が暗くなる。 あ、謝らなくちゃ。 口を動かそうとするが、言葉が出てこない。 そういえばもう幾分「ありがとう」「ごめんなさい」この類の言葉を使わなくなった気がする。 長く使われなくなった言葉は錆付いて、喉の奥に引っかかったままだった。 ただ気まずい沈黙が流れる。 唯「あ……あの、ビックリさせちゃった?」 不意に長い沈黙を破って、確かめるように先輩が問いかけてくる。 話しぶりは先ほどとは打って変わって緊張している。彼女の顔には未だ恐怖が貼り付いていた。 違う。 驚かせてしまったのは……傷つけてしまったのは私だ。 ……来るんじゃなかった。私なんかが関わるんじゃなかったんだ。 唯の言葉へ返事の代わりにぎこちなく頭を下げて謝意を示すと、茜は飛び出すように音楽室から去っていった。 梓「こんにちは~」 いつも通り音楽室に入っていく。 今はテスト期間中で時間割が変則的だ。 午前にはテストがあって、今日は昼で放課。 いつもより沢山部活が出来る事に胸がときめいている。 律先輩と澪先輩はテスト対策のためセットでお休み。 相変わらずあの二人は仲が良い。 紬「あ、梓ちゃん。こんにちは」 唯「……あ、あずにゃん」 梓「唯先輩……?どうしたんですか。なんかいつもと違う様子ですけど」 唯「う、ううん。何でもないよ」 ? やはり違和感がある。 梓「そんなの嘘です。先輩何か隠してますね?」 学際のライブ前に風邪をひいた先輩を思い出す。 変なとこで無理する人だからなあ。 ここはちょっと強めに押さないと。 梓「駄目です、話して下さい!」 紬「待って、梓ちゃん。事情は私から話すわ」 何故かムギ先輩が割って入る。 あれ、何か想像と違う事情みたいです……? 紬「……ということなの」 梓「ちょ……なんなんですかその人は!」 梓「いきなり現れて散々食べて暴れて謝りもせず逃げた!?なんで人そんな人がけいおん部にいるんですか!」 素敵な先輩達に気の合う友達。今までわたしの高校はとても居心地のいい場所だった。 そんな場所で耳にした暴挙。信じられない。しかも、よりにもよって私の最も大切な場所でだ。 さわ子先生はそんな乱暴な人を連れてきて、何のつもりなんだろう。 私と唯先輩、律先輩、澪先輩にムギ先輩……。 私達五人が泣いたり笑ったり喜んだり……色んな出来事を共に歩んできたけいおん部。 楽しく何よりあったかくて、私の高校生活の拠り所。大切な思い出を育む場所。 この領域はたとえ家族・親友の誰かでもみだりに犯す事は許せない。 話に聞いたその人は私の大切な領域を土足で踏み荒らしていった印象を受けた。 唯「あ、あずにゃん……?」 声を張って怒る私に、そっと伺うように声をかける。 梓「その人はなんていう人なんですか?さわ子先生に抗議に行ってきます!」 紬「……でも」 躊躇している先輩達。 唯先輩もムギ先輩も温厚だからこういう事を好まない。 もちろん、私だって好きじゃないよ。 でも、ここだけは譲れない。 梓「先輩!」 紬「……確か、三浦茜さんと言っていたわ。」 梓「!?」 一瞬聞いた覚えのある名前だと引っかかり、ワンテンポ遅れて完全に思い出した。 あの体育の時間の子だ。 嘘。そんなに悪い子には見えなかったのに……。 怒りが萎えかかる。 唯「ね、ねえ梓にゃん、そんなのもういいよう。私は別になんともないから」 唯先輩の調子は明らかにおかしい。 怯えるような弱気な声音は梓にも容易に感じ取れる。 普段無邪気な唯に振り回されている梓だけあって、今の唯の様子は一層痛々しく見えた。 浮かんでくる茜の顔は、唯の悲しそうな表情を見て完全に立ち消えた。 ううん、関係ないんだ。どんな人だろうと許せない事はある。 梓は葛藤を無理やり振り切ると、音楽室から出て行った。 職員室。 さわ子「……あんたねえ。会話がうまく出来ないのは仕方が無いとしても、逃げ出しちゃ駄目よ」 茜に説教するさわ子。 さわ子「友達っていうのはねえ、他人とは違うの。お互いに、自分をぶつけて、相手を受け止めなくちゃいけない。 相手の幸せな気持ちも傷ついた心も、しっかりあなたが抱きとめて確かめなくてはいけないわ」 さわ姉が教師らしい事言ってる……。少し感心したが茜の心は沈んでいた。 さわ子「よくあるキャッチボールの例えよ。あんたが逃げたら球は転がってくしかないの」 茜「……どうせまたすぐ転校するし……いいよ、そういうの」 完全に捨て鉢な気分。 茜「たとえここでうまくやれても、どうせ何も無くなっちゃう。疲れるよ」 説得にかかるさわ子を突き放す茜。 口調はいかにも投げやりだった。 さわ子「……あたしはあんたと同じ境遇で育ったわけじゃないから、悔しいけどそこに対しては何も言えないわ。」 茜の家庭事情を知るさわ子に、彼女の諦念は十分理解できた。 さわ子「でもね」 付け足すように言う。 さわ子「あたしはあんたが疲れて諦めても、自棄になって全部放り投げても……あんたに世話を焼く事は諦めたりしないわ」 「あたしがぶつける思い……受け止めて、投げ返す気はない?」 ピクリと眉を動かす茜。 何事か思案している様子だったが、やがて無言で退出していった。 さわ子「……手応えあるんだかないんだか」 入れ違いに梓が入ってくる。 梓「先生!」 さわ子「あら、珍しい」 二年の梓が尋ねて来るということはけいおん部のことだろう。 恐らく茜のこと。 梓「三浦茜っていう人、けいおん部に連れてきたのは先生ですよね?どうしてあんな人を入れたりしたんですか?」 開口一番、気色ばむ梓。 若干間を置いて、さわ子は困ったように言う。 さわ子「あいつがやらかしちゃったみたいで、ごめんね梓ちゃん。……でも、もうちょっとだけ、様子を見てあげてほしいの」 拝むようなポーズで頼み込むさわ子。 梓「そんな事いっても……!」 さわ子「私だけじゃ力が足りなくて……けいおん部の力を貸して欲しいの、お願い!」 お茶会以外の事で哀願するさわ子ははじめて見た気がする。 眉をひそめる梓。一体どうしてあんな乱暴な人をけいおん部が受け入れなくてはならないのだろう。 梓「先生は……」 疑問に途中まで何か言いかけるが、梓は結局何も言わぬまま職員室を出て行った。 もし訊いていれば納得がいく事情が得られたかもしれないが、成り行きで新入部員を入部させる事になる気がした。 それは一瞬だけ宿ったほんの小さな感情で、彼女自身が明確に存在を認められるものではなかったが 梓は、彼女が一身に受けていたけいおん部の先輩の愛情が、新入部員に注がれる様を想像して嫉妬していた。 彼女には今のけいおん部で十分だった。 梓「もうけいおん部に近づかないで下さい!」 職員室を出た梓は茜の後ろ姿を見つけていた。 先生に言って駄目なら、本人に言うしかない。 かつて話した時の茜の笑顔が脳裏にチラついたが、無理やり打ち消して声を上げる。 唖然とする茜。 目の前にいるのは中野梓。あの体育の時間一緒になった子だった。 久々の暖かい時間。忘れるはずもない。人懐こい笑顔。 そんな子が、今自分を非難している。 この子……けいおん部の部員だったんだ……。 血の気が引いていく。 梓「あ、あなたの乱暴で唯先輩が傷ついたんです!さわ子先生は庇うようですけど、 あなたのような人はけいおん部にきちゃいけないんです!」 少しでも止まれば怒りが鈍る。 梓は思い切ったように、まくし立てていた。 気圧された様子の茜だったが、「何か言わねば」焦って出た言葉は 茜「……私だって、もう行く気ないし」 バカな選択だった。素直に謝れない茜。 口をついて出た言葉は、最低の自己弁護である。 先ほどさわ子へああいった手前、偽りの自分を貫くしかなかったのだった。 茜の発言を受けて、当然のように梓は更に怒る。 梓「どうして!?あんな純粋な人を傷つけて何にも思ってないんですか!!?」 茜「わ、私だって!」 傷つけるつもりはなかった……そう言おうとした言葉が発せられなかった。 ここで彼女に弁解したとして、何があるだろうか。 自分で認めた筈だ。けいおん部の事はもう終わった事だと。転校すれば……関係ないんだ。 茜はいつものように目の前の関係を諦めた。 梓「……失礼します」 茜が何も言おうとしないのを見ると、吹っ切れたように足早に去っていった。 茜「ただいま」 暗い家の中。一般的に見ればそれは家とは言わないかもしれない。 しかしそこは紛れもなく彼女の帰る場所だった。 当然のように母親は待ってはいない。 冷たい静寂と暗闇だけが、茜を出迎えた。 部屋にはすべり台がある。とんでもない事だが、ここは室内公園にある児童室だ。 今は茜の部屋になっている。 茜「もう、疲れた・・・かも」 誰もいない空間に一人呟くと、鞄を投げ捨ててベッドに倒れこんだ。 諦める事には慣れていた筈だったが、今日の出来事は予想以上に大きな苦痛を彼女へ感じさせた。 もう何もかも忘れて、眠りたい。 母親にも友人にも頼れない彼女にとって、暗闇こそ拠り所だった。 傷つく度に癒しを求めて体を預ける。彼は何も言わないが、何も彼女を責めない。ただそれだけで良かった。 日常の煩雑な記憶が無限に広がる黒い色と静寂へ吸い込まれていく。 気が付くと真っ暗になっていた。 だいぶ眠ってしまったらしい。 だが母親はまだ帰ってきていない。 もう一度ベッドに伏せるが、もう睡眠は十分だった。 再び学校での出来事が頭に浮かんでくる。 茜「あの人……怒ってた」 梓の笑顔。あの時は壊さないように細心の注意を払ったが、馬鹿馬鹿しい。結局ぶち壊してしまった。 可愛らしい笑顔の中野梓。昼間の素敵な音楽の時間。 何も無くなった。 茜「……やっぱり、私にはここしかないのかな」 散々嫌悪してきた母親。その家。 逃れようと飛び出しても、いつの間にかやはりそこへ戻ってきている。 わたしは違う。違う筈だった。 だが現実に今も彼女は避けられて、ここしかない。 悲しくても慰めてくれる友達はいない。惨めな親と共に傷を舐めあうように抱き合うしかないのだ。 私は結局、宇宙人の娘だった。 漠然として、ただ時間だけが流れる。 ふと思う。 茜「私って……何で生きてるんだっけ」 口に出して言ってみる。 何に期待して、毎日惨めな思いに耐えて、命を維持しているんだろう。 あんな美味しくないご飯を食べてさ。 不意にあの学校での昼食のひと時が思い出された。 愉快で浮き浮きしてくるような音色。 今はもう無い、最近ちょっとだけ大切に思っていた時間。 私の沈んだ気持ちを引き上げてくる、魔法のようなメロディ。 音楽、か。 わたしにもあんな音が出せたらな……。 遠くを想うように窓の外を見つめていた彼女は、突然弾かれたように立ち上がった。 そういえば……。 たしか、小さい頃父さんに貰ったあれがあった。 一階に降りて母親の荷物に手をつける。派手に散らかし漁った末、ついにそれを茜は見つけた。 銀色の金属光沢を放つその管は、複雑に捻じ曲げられて特徴的な形をとっている。 ユーフォニアムと呼ばれる金管楽器だった。 手にとって、宝石のように慎重に扱い、磨くようにゆっくりと撫でる。冷たいけれど気持ちの良い触感。 ここで吹くのだろうか。 マウスピースを見つけると、おそるおそる口をつけて、力を入れ吹いてみる。 ブフゥ~…… 酷い音だった。でも初めて自分の鳴らしたその音が妙におかしくって、中々耳から離れなかった。 静かで冷たい部屋が、間抜けな音でちょっとだけ明るくなる。 不思議な手応えを感じた。 ブフォー 二度目のそれも相変わらず可笑しな音で、全く様になる様子はない。 それでも茜は初めて触れる音楽に魅了されていた。 その日の茜の部屋は、一晩中明かりが絶えなかった。 茜「わたしだけの……音」 翌日 二年の教室。机に伏せて窓の外を眺める茜を遠巻きに、小さな集団が出来ている。 「なんかさあ、集会で目立つのよねえ」 「ピンク色のデカいのでしょ?w」「頭一つ出てるんだよねえ」 「つーかあれ、いっつもごにょごにょしてて何語喋ってるか分かんないわ」 「あの生物ねw」「なんか変な臭いがするのよねえ」 いつもの風景。聞えよがしに口汚く攻撃してくる。 うるさい。デカいのは遺伝だ。 臭いのは家に風呂がないからだ。銭湯高すぎるし。 ピンク髪は……なんでだろうね。私もわかんないってのバカ。 いつもはそうやって頭の中で反論するのだが、今の私にはそうする気は起きなかった。 私の鳴らす楽器の音色は不細工だ。しかし彼女達の口が鳴らす雑音ほど汚れてはいない。 あいつらはそうやって醜い音を集めて自分を満たしている。だが私はもっと穢れの無い音を集めて己を満たすのだ。 愉快な気持ちになっていた私は、つい口が滑ってしまった。 茜「……バカみたい」 偶然、見つけてしまったのだった。 三浦茜、と……そして、梓が知らなかった世界。 お決まりの校舎裏だった。 囲まれて、突き飛ばされて、鞄を漁られる。中身を側溝にぶち撒けられていた。 これまたお決まりの流れだ。 棒立ちで、見守るしかなかった。 今しがた美味しいケーキと紅茶を口にして、大好きなギター演奏を終えて、幸福感に包まれたまま家路につこうとする。 まさにその途中だった。 私の知っている人が、ドラマみたいな展開で、紛れもなく虐められている。 その事実は梓に大きな衝撃を与えた。 足が動かない。ただ遠くにいる茜を見つめるしかなかった。 こんな時に唐突に理解する。先日見せた茜の表情、そして今見る茜の表情。 彼女の胸中は惨めさで一杯だったのだ。 やがて、遠くから見つめている人物に茜が気付き、梓と茜の視線がぶつかった。 それからの事は、よく覚えていない。 私はその日から二、三日の間、殆ど上の空だった。 さわ子「あの子がどんな子か知りたい??」 黙って頷く梓。 さわ子「うーん。……人見知りで、甘えん坊で、生意気ね。あと負けず嫌い」 「とんでもない母親に小さい頃から放ったらかされてきて、学校もしょっちゅう転校して友達は0よ。そりゃー捻くれるわね」 さわ子「納得した?」 首を横にぶんぶん振る。 さわ子「そうよね。伝聞じゃ何も分かってないのと一緒なのよ」 さわ子「あの子に直に触れて、自分で確かめてみて」 言われた事を自分の中でじっくり考えている様子の梓。 さわ子は一人呟くように続ける。 さわ子「私はけっこうあいつの事好きよ。出来の悪い妹みたいで」 さわ子「……でもそこまでなの。姉みたいな存在」 さわ子「あの子が心から欲しがってる人。……私じゃ無理なのよね」 梓を見つめるさわ子。気のせいかもっと後ろを見ている気がする。 梓はその視線に気が付くと、思考を纏めて答えようとする。 目の前で痛めつけられる知り合い。見て見ぬふりをして、美味しそうにケーキを食べる。幸福な生活を送る。 そんな事が出来るだろうか。考えるまでもない。 ここで三浦茜、彼女に触れてみなければ、私が今まで大事にしてきた暖かいものすべて、偽者になってしまう気がする。 梓「よく、分からないですけど……。私、あの子と話してみたい。確かめてみたいんです」 言葉にする事で梓の気持ちは固まった。 あとは茜に会うだけだった。 さわ子「……わかったわ。しっかし、私も駄目姉で駄目教師ね。結局生徒任せだなんて」 さわ子はメモ帳にペンを走らせながら、悔しそうにひとりごちていた。 梓「うわー……これは」 市の室内公園の近くにある河原。人気は薄く、土手では茜が一人楽器を吹き鳴らしている。 演奏は率直に言って下手だった。 梓は金管楽器を扱った事は無いが、正直リズムの取り方から指さばきまで、センスが感じられない。 しかし茜の後姿はそんな事を気にする事も無く、ひたむきに練習に励んでいる。 私も初めてギターを触った時は、あんな感じだったかな……。 合間を見て近づく。後ろからこそこそと、大分不審な感じだ。 おそるおそる声をかける。 梓「あの……茜、さん」 茜「!?」 振り向いた目が点になっていた。 なんでこの人がここに? 茜が今、最も関心を寄せる人物。ただそれだけに今最も会いたくない人物でもあった。 先日に目撃された痴態は、茜の梓に対する想いを暗く染めていた。 今、茜は劣等感で一杯だった。 茜は顔を背けると、そ知らぬ振りをして立ち去ろうする。今私は何も見なかった。もう終わってるんだ。何もかも。 茜は梓がたまたま用のついでに茜を見つけ、声をかけてきたものだと思っていた。 何を言われるのか。梓には先日最も見られたくない痴態を晒している。けいおん部を荒らした私の惨めな姿を見て、いい気味だと罵りに来たのだろうか。 場所を変えよう。 件の昼時の音楽。考えて見るとあのギターの音色は梓のものだったのだろう。 演奏者として圧倒的に上の梓を前に、下手糞な音を鳴らすのは嫌だった。 梓「ま、待って下さい!」 振り切れると思っていたものが、後を追って走ってきた。 どうして追いかけてくるの!? 金輪際触れたくないと思いつつも向こうから近寄ってくる梓は、もう茜にとって恐怖の対象ですらあったかもしれない。 次の瞬間、茜も釣られるように走って逃げ出していた。 小さくて可愛くて友人や先輩に愛されて、音楽の才能に満ちてた中野梓。茜とは正反対の人物。 もう触れて火傷するのは嫌だった。 彼女の目の前にいると、それだけで宝物のユーフォニアムも良く見ればおもちゃのような安物に見えて そんなものだけを大事そうに、誇らしげに吹き鳴らしていた今までの自分がとても恥ずかしく思えた。 加えてこの前は事情を知らない梓が相手だったから気軽に話せたが、虐めの現場を見られた今となっては話は別だ。 今更何を言っても格好はつかない。身分の差が明るみに出てしまった。 虐められて、一人寂しく安い楽器で下手糞な演奏に逃避する女。 茜は自分という存在が下劣に感じられて、梓から逃げ出すしかなかった。 梓「話を……聞いて、下さい!」 そもそも近づくなと言ったのは自分だ。彼女の恥部を目撃してしまったのも自分だ。 今、彼女が逃げ出すのは他でもなく自分のせい。 関係を断ち切ろうとする茜を、梓は必死で繋ぎ止めようと追いかけていった。 茜「……も、もうやだ」ハァハァ 茜には元々それほど体力は無い。 さらに楽器を庇ったままの不安定な走行。 逃避行はすぐに終わって、茜は地面に座り込んだ。 梓はへたっている茜に近寄ると、肩で息をしながら口を開いた。 梓「わ、私の話を……聞いて、くれませんか?」 梓は出来るだけ穏やかに問いかけたつもりだった。 それでも先日激昂する梓のイメージが強く焼きついていた茜には、それは更なる混乱を呼ぶ引き金にしかならなかった。 近寄ってきたり、突き放したり。私をいいように揺さぶって……私がその程度の事でもどれほど深く一喜一憂するか。馬鹿にしやがって。 そうしてまた近寄ってくるの?今度はどれだけ喜べばいいの?そして次はどれ程悲しめばいいの? いつもは外からの刺激に殆ど無感動で取り合おうとしない茜だったが、今しがた心の拠り所が失われた為に、それに依存していた心は宙吊りになっていた。 そして彼女の我慢は限界を迎える。 茜「なんでよ!?もうけいおん部には近づかないって言ったじゃん!」 今までに無い鋭い口調で茜は大声をあげた。 突然の爆発にぎょっとする梓。 茜は錯乱したように続ける。 「あたしを馬鹿にしに来たの!?こんなガラクタ大事にしてて悪い!!?」 「売店の廃棄貰って何がいけないのよ!!乞食だのホームレスだの好き勝手いいやがって!!!」 「臭い臭いってあんたたちに何が分かるのよ!?当たり前のように幸せがあるあんた達に何が分かるってのよ!!!」 既に梓一人への叫びではなくなっていた。次々と噴出する不満をぶつけられ、梓は呆気にとられるしかなかった。 「……ちょっとぐらい踏みにじられたからって何なのよ?あたしには、踏み込んで欲しくない場所なんて、ひとつも持てなかった……」 徐々に小さくなっていく罵声は、やがて消え入りそうな声でそう告げると完全に沈静化した。 暫くの間、二人は無言だった。 今何を言っても、彼女の気持ちを足蹴にしてしまう気がする。 梓は彼女の気持ちを推し量りながら、ただ黙っていた。 どれくらい時間が経ったか分からない。 茜は不意に口を開いた。 茜「……もう、帰りなよ」 不快だから消えてくれ、というよりも、梓の時間を心配しているような調子の言葉だった。 無言の時の間に、梓の茜を労わるような雰囲気を、茜は感じ取っていた。 梓には時間などもうどうでも良かった。 梓「あの……」 時を置いて梓が口を開くと、茜はそれまで決して梓に向けなかった顔を僅かに彼女の方へ寄せた。 梓「ごめんなさい。……私、けいおん部のことで頭がいっぱいで」 考えながら話している様子で、少しずつ言葉を繋いでいく。 梓「あなたがどんな人かなんて、どんな事情があったかなんて、あの時は考えもしなかったんです……」 今度は若干梓の方が卑屈になって話す。 梓「私が見たあなたは辛そうに見えるけど、でもそれでも私は、何も貴方の事を分かっていないんだと思う」 そこまで言うと、下を向きながらつぶやくような調子を止めて、茜を見つめる。 肩で息を整えて、はっきりとした声で言った。 梓「私、あなたともう一度話してみたい!」 ビクリとして、梓の方を慎重に、しかし正面から見つめる茜。 今まで茜が生きてきて、初めて彼女へ向けられた類の言葉だった。 真新しい玩具を与えられた幼児のように、困惑しつつも彼女から目が離せない。 ややあって 茜「……私なんて、見たままの人間だよ」 ゆっくりと、未だ諦めた調子は残っていたが、殆ど問いかけるように言う。 複雑な事情を背負っている茜。 本当の事を言うとわからない。彼女を受け止めるのがどれほどの事なのか。 でも私は、関係ない世界があるって目を閉ざしたくはない。 それに、関係ない世界、私と違う世界。そこには私の知らないものが沢山ある。 自暴自棄になっているけれど、実は私が持っていない物を一杯持っている、素敵なこの女の子と話をしてみたい。 梓「そんなの、全然関係ないです」 「私は……茜と、話がしてみたいの」 1週間後 茜「で、でもさ梓。本当に私なんか……いいの?」 梓「大丈夫だよ。けいおん部の先輩はみんな図太いんだから」 律「ほほう?誰が図太くていい加減で大雑把だからパスだって?」 梓「わ!!律せんぱ ぷぇっ!?」グリグリ 茜「……あ、あの」 律「おう、唯から聞いてるよ。三浦茜ちゃんだろ?ちょっと食いしん坊できかん坊の」 茜「……ご、ごめんなさい」 律「気にしすぎだって!唯もああ見えてタフなんだから。嫌な事なんて次の日にはケロっと忘れてるんだぜ」 可笑しそうに先輩が言う。 あれから私は梓と付き合いを始めた。 友達というのかまだ分からないけれど、今では私はもう逃げずに梓と向き合うことができる。 今日はその梓がけいおん部へ私を連れ来てくれた。 新入部員の紹介だとか言ってたな……。 今なら入っても、いいかも。 でもユーフォニアムって、実際どうなんでしょうかね。 律「さ、入った入った。」 律という先輩の先導で入り口から音楽室の中へ通される。 今日はあの時より人が一杯いる。なんか恥ずかしいぞ。 ていうかあの……そろそろ梓を離してあげた方がいいんでは。泡吹いてますけど 澪「お、その子が新入部員の子だな。初めまして、秋山澪です」 紬「いらっしゃい。茜ちゃん」 みんな暖かく迎えてくれる。なんだろうこの感覚。 知らぬ間に涙が出てきそうになる。ガラじゃないって。 唯「お!」 奥にいたあの人と目が合う。 相変わらず真っ直ぐな瞳。たまらずに目を反らす。 しかし彼女は気にせずにぴょんぴょんと跳ねるように私に近づいてきた。 唯「こんにちは!」 茜「あ……あの、この前は」 唯「はじめましてだね!」 茜「え?」 律「ほらな、すっかり忘れてる」 そ、そうか。あの時のことはすっかり……それは良かった……。 でも、ちょっとそれは……寂しいかも。 ショックを受けたような顔を隠せない私をよそに 唯「うそうそ。ちゃーんと覚えてるよ」 律「シシシ。ビックリしてる。茜ちゃん、なかなか良いリアクションだぞー」 茜「……そんなの、いじわるです」 苦笑して言いながら、目じりの涙をぬぐう。 流れてくる音色を聴きながら一人寂しく想像を膨らませていた、あのイメージ。 あの姿以上に、やはり彼女達は暖かくて楽しい人たちだった。 目の前の二人は、私が唐突に涙を流したのを見て若干呆気にとられていたが、 突然思い立ったように 唯「よーし。この前のリベンジだ。茜ちゃーん!」 律「私もー!」 二人で抱きついてくる。 唯「ふふふ、これなら身動きがとれないでしょ?新しい作戦を考えていたのだよ!」 律「へへへ。茜ちゃんのやんちゃぐらい、私達にはなーんともないんだからな!」 冗談めかして頼りになる事を言ってくれる。 ひとしきりふざけ合った後、何事か彼女らは目配せすると手に手に楽器を持って演奏の準備をしだした。 たちまち演奏者の顔つきになる五人。 教室の電気が落ちて暗くなる。 律「よーし、いくぜ!今日は茜ちゃん歓迎の特別ライブ!」 紬「最高の演奏をお聞かせします!」 梓「あ、あなただけに送る私達の気持ち!」 澪「受け取って!」 律先輩のドラムが鳴り出す。 演奏が始まる。 唯「茜ちゃん、けいおん部へようこそ!」 終わり